コンテスト

第52回 常総きぬ川花火大会・花火写真コンテスト

開 催 日:2016年8月11日(木)
応募締切:2016年9月16日(金)
応募者数:108名
応募点数:205点
審 査 員:小野里公成[花火写真家]

講 評

最高のコンディションに恵まれたせいか応募作品も多く、楽しい選考でした。
実際の花火大会を観ていて、これは困ったことになるな、と思いました。プログラムの中で常総の花火大会らしい絵になりそうなシーンのひとつが写真作品にするには少々難しいかな、と感じたからです。
案の定、多くの作品は他のひとつのプログラムのなかの2、3の決まったシーンに集中し、その中でわずかな優劣を見極めるのに時間が掛かりました。高速な連発の打ち上げでは、ある瞬間の0.5秒前でも後でも、まったく違った写りになる、そこが花火写真の面白いところです。0.5秒前後が良いか悪いかではなく、そこに3つの別の作品が生まれる余地があるということです。もちろんその写りの善し悪しはあるのでどれかが撮り手にとって理想の一枚になるということです。その意味ではある瞬間においては選者より理想のタイミングがあるわけで、そうした多くの作品を見させていただくのも楽しみでした。僭越ながら優劣をきめさせて頂くわけですが、それは私の好みというより私の理想とする花火写真に近いものを選んでいるという感覚かもしれません。花火大会ではどうしてもその当日はどこかひとつの視点からしか見られないわけですが、こうして多くの作品から同じプログラムでも様々な角度や視点で見られること、より深くこの大会を味わうことが出来て選者は嬉しく思っています。多くの力作のご応募ありがとうございました。
ベテラン、常連、の方へメッセージとしてはより入賞しやすそうな瞬間ではなく、その技能でより難しい瞬間を作品にすることにチャレンジしてみてください。

大賞

茨城県知事賞

「復興への願い」

蛭田 眞志(東京都)

寸評

タイミングや全体の収まり、雰囲気感など、絶妙の瞬間になりました。前後にもほとんど間をおかずに玉が打ち込まれる中で素晴らしく綺麗なタイミングです。しかし100点というわけではありません。色調が水色に近くなってしまっている点と、誠に惜しいことながらやや水平が取れてません。

特選

茨城県議会議長賞

「彩色八方咲の舞」

秋元 拓也(横浜市)

寸評

この撮影位置ではベストの撮りでしょう。花火のタイミングもいいと思います。夜店の入り具合、パーセンテージが上の花火を圧迫している感じで気になるところです。花火との距離感やスケール感を感じさせることは必要ですが、夜店の詳細な描写をよく見たいと思うくらいにそれが「美しい」かどうかです。ここは屋根下はバッサリでもよろしいかと。

準特選

茨城県商工労働観光部長賞

「白銀に輝く」

菅野斗施雄(さいたま市)

寸評

大会出だしのトワイライトな雰囲気のある瞬間です。応募作の中ではこちらの方がバランスが良かったと感じます。夜店や見物客の入り具合も良い感じです。まだ空が明るい時間で、上空の花火が若干冴えません。花火のコントラストといいますか、浮き立たせるくらいに空を落とす現像もあったのではないかと思います。加えて花火の射出位置をセンターに右方向に振るか横位置という構図もあったのでは?と思いました。

準特選

茨城県観光物産協会長賞

「青碧の美」

南雲 郁美(魚沼市)

寸評

美しく仕上げられ、撮り馴れた経験値の高い技量を感じます。縦に切った時の距離感も最適と思います。こうして全体をいい感じに入れたのですから、見てなかった人にもスケール感を伝えるために手前の観客を入れる技量もあったはずでそこが若干惜しかったところです。

入選

常総市長賞

「次のステージへ」

武田 浩(富谷市)

寸評

前後に玉が混じりやすい難しい瞬間をよく捉えています。終盤の玉数が多い部分だけに残煙によりクリア感が若干落ちました。明るさ対比の難しい上空の玉を色合いともよく描写あるいは現像されています。

常総市議会議長賞

「スパークル」

上田 悠平(京都市)

寸評

若干アンダーですが、そのことによりすっきりと美しい発色の野村カラーで仕上げられています。この瞬間の応募作ではもっとも色合いの美しい作品だと感じました。花火写真として撮影技術と作品グレードが高いわけですが、惜しいのは、やや「寄りすぎ」で、窮屈に感じるのと「場」の入らない花火だけになってしまった点です。

常総市教育委員会教育長賞

「希望の光」

池谷 友子(富士宮市)

寸評

希望の光のワンシーンが良いタイミングと綺麗な発色で捉えられています。花火の部分の写真についてはグレードの高い仕上がりです。残念ながら手前の観客など、常総の場所感があれば最高でした。

常総市観光物産協会長賞

「光のシャワー」

滝本 金雄(牛久市)

寸評

豊水橋で観覧する客が点景で効いています。構図も、橋の鉄骨構造の形と交差するトラが呼応するようで幾何学的にキマまっています。吹き上げる星々が視界を覆い尽くして迫力と幻想感を演出しています。よく見ると橋の方に合焦して花火がボケています。どちらにもピンを入れるか花火の方に合わせると良いと私は思います。

常総きぬ川花火大会会長賞

「常総のきらめき」

大藤 和良(つくばみらい市)

寸評

煙ったのが残念ですが、豊富な色彩が散りばめられ、豊水橋越しに部分を切り取った構図はダイナミックに決まりました。

佳作

「明日への希望」

吉田 玲子(横浜市)

寸評

見物客が大胆に入ることで、花火の晩の雰囲気がよく描写されています、応募作中では和火系のこちらが色合い的にいい具合だと思います。画面下部の観覧客部分が全体の3/1ほどと若干多く、そちらに写真のウェイトが持って行かれています。これだけ入れるならもっとお客は露光されその様子が描写されなくてはなりません。このままなら下1/5ほど客を削って花火に集中させると良いと思います。

「月と花火の共演」

落合 孝雄(越谷市)

寸評

撮影のタイミングも良く、花火部分の描写は大変綺麗です。しかしこの月は花火と同じ画面に同居させるにふさわしい位置にあるか、というとちょっと無理目な感じがあるのは撮影時にもおわかりかと思います。左右に余分な空間が入った分やや力がバラけてしまったと思います。

「ナナイロの煌き」

蒔田 裕紀(栃木市)

寸評

虹色のブーケの玉が曲導を含めて的確な露出と発色で捉えられました。豊水橋を入れるのであればもう少し橋をしっかり抽出したいところです。

「希望の華 」

小栗 拓也(横浜市)

寸評

タイミング良くまとまっています。下部の緑の描写もいい感じです。右端のトラが切れても若干左に振った構図だとバランスが良かったと思います。トラの扇が欠ける事無く入っているか?より、上空の開花全体のバランスが重要だと思います。もう少し明るめに調整することでさらに華やかにアピールすると思います。