コンテスト

第53回 常総きぬ川花火大会・花火写真コンテスト

開 催 日:2017年8月11日(金)
応募締切:2017年9月15日(金)
応募者数:83名
応募点数:150点
審 査 員:小野里公成[花火写真家]

講 評

天候不順な8月に良風に恵まれて、無事に開催されたことはなによりでした。
今回も多くの力作のご応募をありがとうございました。選考していて感じるのは、撮影、現像プリントと一貫して高いレベルで仕上げられている作品が増えたことです。いくつもの作品で、気に入った応募作を作るために何枚もプリントを繰り返したのだろうと思い、それを選ばせていただくことは毎回のことながら身が引き締まる思いでした。
私もまたこの花火大会で皆さんと同時に撮影し、作品を得る訳ですが、私自身もこのシーン、この玉の現像と描写は難しいな、と感じることはたくさんあります。そうしたシーンのいくつもが綺麗にプリントされ応募されてきて驚かされます。レベルが高くなったと感じる次第です。同時にそのことでこれから新たに応募される方にとって敷居が高い感じにならないように、幅広い視点で選出しなければ、と心がけています。
花火写真の可能性とか正しい方向性などといったことを、私もまた多様な応募作から学ばせてもらっています。

大賞

茨城県知事賞

「常総の夏」

大島 正美(横浜市)

寸評

鬼怒川の水面に映る色まで青と水色系に統一されて清々しい一枚です。豊水橋の描写も十分で、全体にきりりとした切れ味の良い作品になりました。

特選

茨城県議会議長賞

「大輪の花」

鈴木 一美(流山市)

寸評

この瞬間はとくに上空の大玉は八方咲部分の描写が難しい玉でしたが、うまく出しているとともに、下方のすべての星々や地上の緑との明るさや色合いのバランスも上手にまとめています。用紙比率という構図の中で実にバランスよく収まっていると思います。

準特選

茨城県商工労働観光部長賞

「銀河」

上田 悠平(京都市)

寸評

発色も綺麗で、現像からプリントの仕上げまで一貫してこのシーンを活かそうと努力されていると感じます。縦位置で収めるには天地がやや窮屈な感じがして惜しかったと思います。

準特選

茨城県観光物産協会長賞

「夜空のキャンパス」

秋元 拓也(平塚市)

寸評

とくに扇打ちと点滅ものでは難しい現像を経て、構図も含めて良い作品に仕上がっています。要所を白飛びさせないようにアンダー目に露出したか現像したかのため、メリハリとか押し出しという点では若干全体パワーが落ちた感じがします。肉眼で見て目映いものはそのように写っている方が自然な気がします。

入選

常総市長賞

「きぬ川劇場・大輪のひびき」

古川 靖史(朝霞市)

寸評

縦位置構図の中で、観客、花火とも見事なバランスでタイミングも良く決まりました。この用紙比率の中でまさに写真作品として完成された一枚です、タイトルに付けたいちばん目を引く大輪の親星が銀=白に発色していない点が惜しまれます。

常総市議会議長賞

「光の協奏曲」

三浦 歩(横浜市)

寸評

撮影位置の関係で、大玉が画面内にバランスよく配置されて、画面構成に優れた一枚になりました。発色は現実より派手目でありながら、白い色が白くないなど色味のバランスが課題だと思いました。

常総市教育委員会教育長賞

「煌めく万華鏡の世界」

坂本 純一(鴻巣市)

寸評

構図、露出、現像、プリントと高い技術で仕上げられています。発色や観客の描写など非の打ち所がないわけです。惜しむらくは中段のエメラルドと青の花が少々多く重なり、全体に盛り過ぎかなと。細かい変色の星が溢れているシーンなだけに、すべてが最大量写し込まれているとピンク系の入っている星の花とどちらもが主役になれていないと感じるのです。

常総市観光物産協会長賞

「光のシンフォニー」

八田 和香(松戸市)

寸評

何度か繰り返された打ち上げがひとつにまとまり、綺麗な星の描線が幾重にも写し込まれています。ほぼ同じ位置に同様の開花が重なっているのでこれを複雑ととらえるか、賑やかで華々しいととらえるかどうか?なのですが、私的には盛りが良すぎたかな、と思いました。

常総きぬ川花火大会会長賞

「躍動する天と地」

氣賀澤 大輔(清瀬市)

寸評

超広角レンズは至近距離から花火空間を全部入れたりするのに使いますが、この作品では花火はもちろん観客や自分と隣り合わせて撮っている人までそのまま網羅してしかもきちんと描写されているところが「花火大会まるごと入れちゃいました」で斬新だと思いました。ワイド版の比率も活かされていると思います。花火の出のタイミングも合っていれば秀逸な一枚だったのではないでしょうか。

佳作

「匠の華」

滝本 光晴(土浦市)

寸評

確かにこの瞬間は夜空にこの千輪と八重芯の開花だけ。色彩の対比も良く、もう、ここだけ切り取ればいい、花火の開花に迫るそんな思い切りの良さを感じました。ワイドでない四切で千輪の左が少し切れるくらいでもいい納まりだったと思います。

「青いきらめき」

三和田 恵(府中市)

寸評

このようにデータに写っているのかプリント用紙に合わせたらこうなったのかわかりませんが、花火の写りはタイミングもよく抜群なだけに、作品としては天地がぎりぎりに詰まって窮屈になってしまったのが惜しまれます。

「常総花火物語」

木村 翼(藤岡市)

寸評

綺麗な瞬間を色合いも見事にとらえていると思います。下方の緑の草地の描写もいい感じに場所感を出しています。画面右部分が写っているのかどうかわかりませんが、この構図だともう少し右側が入っているとバランスが良かったと思います。

「にぎやかな空」

剣持 英雄(相模原市)

寸評

大胆とも思える構図でにぎやかでダイナミックな切り取りが目を引きます。画面下に樹がシルエットで入っているのもスケール感を加味しています。全体としてはもう少し明るめに露出または現像したいところです。