コンテスト

常総きぬ川花火大会2011・花火写真コンテスト

開 催 日:2011年9月10日(土)
審 査 日:2011年10月1日
応募者数:59名
応募点数:109点
審 査 員:小野里公成[花火写真家]

講 評

今回は風に左右される条件でしたので、撮影場所選びや構図が作品の出来に関わったと思います。応募作にはこの年の大会のベストシーンがどの瞬間だったのか?が良く現れています。いつもなら多く寄せられるハナビリュージョンも今年は撮るには難しかったようで、華のある作品が減ったようでした。このコンテストも回を重ね花火撮影のベテランが多く参加するようになり、上位は常連組も含めて激戦でした。 上位陣には私が自分の作品に求めるような要求を当てはめてもなお素晴らしい作品が寄せられて、コンテスト全体のレベルを押し上げていることを嬉しく思います。気軽にコンテストに参加したいビギナーの方々が敬遠してしまうことのないように、広範な作品を選んでいくことが難しい選考でした。多くのベテラン陣が、同じような撮影場所を選ぶので、残念ながら場所選びの観点からは個性が出にくくなっていると言えます。 いくつかの実験的、冒険的な構図の作品は、狙いや見せたい絵が明瞭で、それらはとても新鮮に目に映りました。毎年同じ場所で行われる花火大会ですが、撮りようによっていくらでも新鮮な視点が見いだせるのだと改めて気が付かされます。
応募作の大部分がデジタルカメラでの撮影という時代になりました。写真合成や修正も作者自らがやりやすくなっています。それが作品として不自然でなく、かつ作者の描くイメージどおりに決まっていれば、それはアリだと私は考えています。同時に撮影からプリントまで殆ど自らがコントロールできるので、自分のイメージを最後まで管理できた作品がより完成度が高いといえるでしょう。
写真作品の表題は重要ですが、作者がその花火または写真から感じたことが優先なのか、その花火が表現したいことや花火そのもののタイトルが優先なのか?を考えて欲しいと思います。撮影者の独自の表題を付けるなら、そのように撮った作品でなければならないと思います。プログラムに記載された玉名やイメージタイトルを遵守することも私は大切だと考えています。

推薦

茨城県知事賞

「夢色の華」

久保田 正史(佐世保市)

寸評

この瞬間においては私以上に巧く切り取っていて絶妙です。連続した打上では僅かなタイミングのずれで前後の花火が中途半端に混ざったり、途切れたりしがちです。そうしたことが殆ど無いような理想の姿がここにはあります。タイミングだけでなく発色も良く、撮影からプリントまで行き届いた完成度の高い作品です。

特選

茨城県議会議長賞

「乱舞」

藤野 芳正(館林市)

寸評

まずハナビリュージョンの中のベストシーンだと思います。連続した打上でスピードも量も多いハナビリュージョンでは、すっきり綺麗にまとまるように切り出すのがなかなか難しいです。この作品は多くも少なくもなく、華やかな瞬間をまとめています。

準特選

茨城県商工労働部長賞

「風雅」

菊池 健一(世田谷区)

寸評

紅白の色合いが綺麗に配されて、日の丸色をテーマにしたミュージックスターマインの特徴の良く現れた作品です。同等の応募はいくつかありましたが、色の綺麗さでは抜きんでていました。情熱を込めた打上テーマですが、その流れの中にあって気品を感じとれる作品です。

準特選

茨城県観光物産協会長賞

「花に願いをこめて」

圷 範道(那珂市)

寸評

復興祈願花火のベストシーンのひとつです。三色の八方咲が美しく捉えられました。リズミカルであり、画面の切り方でこの開花が左右の空間へも無限に続いていき、絶えない願いの絆になっているかのようです。

入選

常総市長賞

「豊水橋にアート菊」

大藤 和良(つくばみらい市)

寸評

大胆なくらいに大きく豊水橋を前景に使い、そこを突き破るかのように開く端正な割物との対比が狙い通りに決まりました。割物単独の作品より技が効いています。計算してのことか、構図が絶妙で爆心をやや左にずらしているので、斜めになった大きな橋とのバランスも取れています。

常総市議会議長賞

「和火幽玄」

古川 靖史(朝霞市)

寸評

露出の難しい和火ものですが、的確な技術で撮りきっています。多少時間的に入れ込み過ぎたかなという感じで、見た目以上に背景がやや明るくなりすぎました。デジタルですとそのあたりはもう少し押さえ込めると思いました。

常総市教育委員会教育長賞

「艶やかなる八方咲の共演」

鈴木 隆宏(宇都宮市)

寸評

発色も綺麗で趣のある作品です。風を考慮されてか撮影場所も良かったようで、花々の佇まいが流麗に決まりました。夜空に咲く花火の散り具合や配置は、撮影者の思い通りにはならないですが、連続して上がる花火の中で前後の違った種類の花火と混ぜないのはなかなか集中力が必要で、馴れた撮影技術を感じます。

常総市観光物産協会長賞

「光祭」

長山 広治(日立市)

寸評

大画面ポジを活かしたダイナミックな光のシャワーを感じる作品です。肉眼で見るハナビリュージョンの何倍ものスケールに感じるのは、橋との対比もありますが、思い切りよく画面外に逃している点にあると思います。ゴージャスな作品になりました。

常総きぬ川花火大会会長賞

「彩花繚乱」

岡田 幸博(東大阪市)

寸評

ハナビリュージョンの終盤をタイミングよく切り取っています。色とりどりの葉落もどこまで写し込んでいくか判断の見極めが重要ですが、適切に配置され華やかな画面になりました。これをさらに縦位置で切るとか、一歩踏み出した個性が見たいところです。

審査員特別賞

「川面を染める花」

片野 通明(常総市)

寸評

橋がミニチュアに見えるくらいにダイナミックな花火シーンになりました。表題通り染め上げられた川が美しく画面を飾っています。画面下の色扇開花が少々欠けていますが、それを感じさせません。金色のトラがまさに昇っていくところで勢いがあり、全体をスピーディで活き活きと見せています。

「紅の月夜」

小芝 康孝(江戸川区)

寸評

表題通りそこに在る月を活かした風流な作品です。タイミング的には課題はありますが、月を花火と共に被写体と気が付いて、構図に引き込んで作品の一部にしてしまうという機転が良かったです。

「虹の架け橋」

菅野 斗施雄(さいたま市)

寸評

水門の構造物を入れるとは斬新です。みごと常総の風景の一部といえます。角度的に入れられる花火が限定されると思いますが、良い開花をチョイスしました。花火の一部がかかることで、建物の形もはっきりしています。